草間彌生　Yayoi Kusama

1929年長野県松本市生まれ。日本を代表する国際的前衛芸術家。
草間彌生は、その幼少の頃から、物のまわりにオーラが見え、植物や動物の話し声が聴こえる
と言った幻覚を体験したと証言している。この幻覚、幻視・幻聴体験、恐れや不安感に苛まれ
る自己と正面から向き合うことから、そして、それらのオブセッションを、絵を描くことによ
り外在化させることに自らの救済の道を見いだし、創作活動は開始された。46年に27歳にして
単身渡米。巨大な平面作品、ソフトスカルプチャー、ボディペインティング、ヌードパーフォ
ーマンスなどのハプニングを精力的に発表する。現代美術の先駆者として、真に時代に衝撃を
与え、時代を変える本質的な作品を提示して来たと言える。60年代のニューヨークのアートシ
ーンに与えた影響は計り知れないものがある。70年代に帰国した後も、自ら命名した「サイコ
ソマティク・アート」（心身医学的芸術）と言う独自の創作活動により、他の美術の動向にま
ったく影響を受けない生きることの意味を生きた表現を通して問い直し続けていると言える。
2004年に森美術館で開催された「クサマトリックス／草間彌生展」、同年東京国立近代美術館
に始まる巡回展での盛況は記憶に新しい。2006年には、日本人女性では初となる高松宮殿下記
念世界文化賞を受賞している。