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これらの絵画は、恐らく朝鮮王朝(李朝)末期の作品であると思われる十曲屏風を解体するこ とから生まれ出ることとなった。これらの花鳥画は、基本的に無名・無款であり、一般的に 「李朝民画」と分類される、正統的な絵画形式とは区別されるものである。つまり、芸術が芸 術のための芸術となった近代西欧的芸術観からは抜け落ちた表現形式をその出自としている。 故に、その絵画の在り方には、朝鮮半島におけるある時代の固有の文化の息遣いが残ることと なっている。それは、自然の情景を切り取ったようなリアリズムではない、どこかユーモラス であり、穏やかで親しみの湧く庶民的な情感を漂わす絵画なのである。ある種の芸術の日常性 への下降が実現されていたのではないだろうか、と想像の翼を羽ばたかせるのも楽しい。ある 絵には、想像上の生物である鳳凰が描かれ、ある絵には、吉祥を報せる鳥である鵲が描かれて いる。蓮の花の下で遊ぶ水鳥には、豊穣の世界への願望が篭められていると言う。この何とも 言えない自然との親和感を、そして、散りばめられた様々な象徴的図象の謎解きを、我々の日 常空間に取り込むことも、一考に価するのではないだろうか。 商品一覧
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